多嚢胞性卵巣症候群の方は注意が必要です。
卵巣が刺激されて、卵巣が腫れてしまい腹水などの症状が出る事を卵巣過剰刺激症候群と言います。
不妊治療では、排卵誘発剤を注射する事がほとんどだと思いますが、その際に過剰に卵胞が刺激を受けて卵巣過剰刺激症候群になってしまう事が多いです。hMG-hCG療法で発生しやすく、クロミッドなど経口剤ではあまり発生しません。
多嚢胞性卵巣症候群気味の方が、hMG-hCG療法で卵巣を刺激すると、卵巣過剰刺激症候群になりやすいため注意が必要です。
排卵誘発時に卵胞が卵巣に20個以上あると卵巣過剰刺激症候群を疑います。また血中エストロゲンの値が異常に高い時も卵巣過剰刺激症候群が疑われます。
症状はお腹の張りが一番わかりいやすく、お腹がぽっこりと出てきます。そして腹痛を伴い、次には尿の量が減ります。酷くなるとこぶし程に卵巣が大きくなり、食欲もなくなり便秘になります。
腹水だけではなく胸水までなってしまうととても危険で呼吸困難を起こす事もあります。血液が凝縮されることもあり、脳梗塞や心筋梗塞などの生死に関わる事に至る事もあります。少しでも疑わしい症状が現れた場合は必ず医師に連絡をしましょう。
排卵誘発剤を使用する際には、当然ですが担当の医師は患者さんのタイプやそれまでの経緯などをきちんと把握して処方しているはずですが、卵巣過剰刺激症候群になってしまう事はあります。卵巣過剰刺激症候群は排卵1週間後で症状が強く出ます。そして生理が来ると症状は消えて元通りになります。
私は初めての採卵時に少し卵巣過剰刺激症候群っぽい症状が現れました。お腹が常に張っていて苦しかったのを覚えています。
卵巣過剰刺激症候群を発症しやすい方は多嚢胞性卵巣症候群の方、痩せ型の方、黄体機能補充にhCGを使用した方などです。また妊娠が成立した時にもhCGがたくさん分泌されますので、発症する事もがあります。
卵巣過剰刺激症候群にかかりつつ妊娠した方はしばらくお腹が張り続けますので、10週〜12週までは安静が必要です。医師の指示により入院に至る方もいらっしゃいます。
最近はhCG療法よりもFSH剤を用いる病院が多く、卵巣過剰刺激症候群の発生率が低下して来ました。排卵誘発剤を使用すると医師から伝えられた時には必ずどのような薬剤なのか、どのような副作用があるのか等を確認しましょう。きちんとした不妊治療専門の医師であれば、質問の前に説明があるはずです。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)関連ページ
- 不妊治療で行う検査
- 不妊治療の第一歩、検査の流れを簡単に説明します。
- タイミング療法
- まず最初に行うタイミング療法。排卵日を特定して妊娠しやすい日にタイミングを合わせて性交します。血液検査や内診で排卵日を正確に認識する事が一番のポイントです。
- タイミング療法A
- 不妊治療の最初の一歩。タイミング療法。基礎体温を測り超音波検査と血液検査で排卵日を特定します。決められた日にセックスをするわけですから男性側はかなりプレッシャーです。
- 人工授精(AIH)
- 人工授精(AIH)について簡単に流れを説明します。
- 体外受精(IVF)胚移植(ET)
- 保険適用外の体外受精について費用は流れを簡単にまとめました。
- 顕微授精(ICSI)
- 顕微授精について簡単に説明します。
- 胚盤胞移植
- 体外受精を何度か行ってもうまくいかない場合は、胚をもう少し培養して胚盤胞になってから移植する事があります。着床率が少し高めになる為、薦める医師が多いです。
- アシストハッチング(AHA)
- 胚を子宮内に戻す前に、受精卵を少し傷つけてより着床しやすいようにするアシストハッチングについて簡単にまとめました。
- そもそも妊娠とは
- 妊娠するための大事なプロセス、射精、排卵、受精、着床。これらを全てクリアしないと赤ちゃんは出来ません。一つがかけても妊娠には至らないのです。その過程について簡単に説明します。